介護ベッドのギャッチアップ効果について

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介護ベッドのギャッチアップ効果について

介護ベッドのギャッチアップとは

介護用ベッドにはギャッチアップという機能がついています。モーターが内蔵されていますので、手元のリモコンによって、寝たまま上体だけを上げる、足部だけを上げる、または両方同時に上げることができます。この機能のおかげで、ベッド上で横になったまま座るような姿勢に近づくことができます。

このような介護ベッドのギャッチアップ機能によって患者さんや利用者さんは、状態に応じた安楽な療養生活を送ることができるのです。
今回は介護用ベッドの上体ギャッチアップ機能の活用方法について疾患別に示してまいりたいと思います。

呼吸器疾患の場合

呼吸器疾患の方は仰臥位で寝ていると横隔膜が内臓に圧迫されて動きが制限されるため、呼吸しにくい状態になります(イメージ①)。そこで上体ギャッチアップによって上半身を上げることによって内臓が下がるため、横隔膜への圧迫が避けられ呼吸しやすくなります(イメージ②)。

呼吸器疾患の方は息切れや呼吸困難感、痰がらみなどの症状がありますので、上体ギャッチアップ機能によって安静時呼吸を楽にし、肺炎を予防することは重要な役割となります。

循環器疾患の場合

循環器疾患の方にとっては、仰臥位で寝ることによって静脈還流量(心臓に戻ってくる静脈血の量)が増えるため心臓、肺に負担がかかります(イメージ③)。そのことによって息切れや呼吸困難感、動悸、倦怠感が生じることがあります。
そこで上体をギャッチアップすることで、仰臥位で寝ているときに比べて静脈還流量を減少させ、心臓、肺への負担を軽減させる(イメージ④)ことによって息切れなどを緩和させることができます。

脳卒中の場合

介護用ベッドの上体ギャッチアップは脳卒中の急患さんにも行われます。上体ギャッチアップ角度はおおよそ10°~30°の間です。
主な目的は、脳への血液供給を減らし、脳浮腫や頭蓋内圧亢進を予防することです。また脳卒中の急性期には血圧が上がりやすいため、上体ギャッチアップは血圧コントロールにおいても重要な役割を担っています。

介護ベッドをもっと活用するには

このように介護用ベッドのギャッチアップ機能は、疾患に合わせ医療の現場で活用されています。紹介されていない多くの疾患でも活用されています。介護保険制度下では在宅の療養生活でも介護用ベッドが用いられることも多くなりました。
しかし介護ベッドをレンタルされている利用者さまの中には、介護用ベッドのギャッチアップ機能をほとんど活用されていない方が少なくありません。
今回のコラムによって、介護用ベッドを患者さまや利用者さまが「もっと活用してみようかな」と思って下さったら幸いです。

 

(同)福祉用具アシスト
作業療法士 高野 元喜(080-4133-0920