2025年12月10日
もうすぐお正月、お正月といえば様々な行事や風習が思い浮かぶと思いますが、お雑煮・鏡餅などお餅を目にする、食べる機会がたくさんあると思います。そして筆者がここでも食の文化に驚いた餅の形・雑煮の違いを中心に色々調べて学んでみたお話です。
餅とは?

餅はもち米を加工して作る食品です。もち米を蒸してから杵と臼で米粒の形がなくなるまで搗いて成形します。もち米と普通に食べる米(うるち米)の違いはでんぷんの質と成分です。米に含まれるでんぷんはアミロースとアミロペクチンの2種類です。うるち米はアミロースとアミロペクチンが混合されていますが、もち米はアミロペクチンのみとなります。
アミロース・アミロペクチンはそれぞれ水を加えて加熱すると、
<アミロース>=見た目は半透明、やわらかくさらっとする、粘りが出にくい、水に溶けやすい、硬さを作るでんぷん
<アミロペクチン>=見た目は白く不透明、粘りが出る、もちもちとした食感、水に溶けない
雑煮って?

雑煮という名前は様々な物を雑多に煮た料理から付けられた名前で、室町時代に、当初は武家の宴会料理として生まれたそうです。
正月に食べる雑煮は日本人にとって神聖な食べ物「餅」を頂くものでおせち料理は脇役だったそう!!正月料理としての雑煮は大晦日に年神様(家々に幸せをもたらすためにやってくる来訪神)に供えたお神酒や餅・米・野菜・魚などを元旦になると下げて一つの鍋で煮込んだことが始まりで、雑煮で正月を祝う風習も室町時代に始まったそうで、江戸時代になると庶民の間にも広まっていったそうです。
雑煮の種類って?

雑煮の種類は100以上あると言われ多様です。作り方・具材・具材の切り方の違いなど様々でその土地の特産品を使うことが多いようですがそれだけとも限らず、縁起がけやダジャレの具材が使われたり、その土地では手に入りにくい物を具材に選び、おもてなしの意味で使うものもあるようです。
雑煮の味の種類は大きく分けると、東日本・東海の一部はすまし汁、東海・中部・京都・大阪・兵庫は味噌仕立て、山陰は小豆汁、山陽・山口・四国・九州はすまし汁で、沖縄は古来からお雑煮を食べる習慣がないようです。
雑煮の餅の形って?

東は「角餅」・西は「丸餅」雑煮に入る餅の形は地域によって異なります。一般的には東日本では四角い角餅、西日本では丸い丸餅で、岐阜県関ヶ原周辺が角と丸の境界線と言われ、角餅と丸餅が混在する地域です。東・西とも一部地域で交易の関係や藩主の影響で形が異なります。
「丸餅」 もともと餅の形は丸であり、鏡餅も丸い形です。丸い形は鏡や神様の御魂(みたま)を形取ったものであると言われ、神に捧げる鏡餅や円満を願う縁起物としてお正月に供えられたり食べられたりする風習があるからで古くから祭祀道具です。丸い形には円満に暮らせるように願いや縁起がこめられているので、餅を一つ一つ願いを込めて手で丸めて作られていたと考えられています。このような事から西日本だけでなく全国で丸餅が食べられていたと考えられます。西日本を中心に京都の雑煮では餅だけでなく野菜も丸く切るのが一般的です。
「角餅」昔、江戸の町では餅を搗く専門の「貸し餅屋」が町をまわって餅を搗いていたそう。丸餅を作っていたら手間と時間が掛かるため、搗いた餅を平たく伸ばしたのし餅を切って分ける方法が生み出されたそうです。角餅は一度にたくさん・早く出来ることから人口が急増していた江戸の町では合理的で運搬に便利で徐々に広まったと言われています。のし餅を切って分ける方法、角餅の由来は、貴族文化が栄えた関西に比べ武家社会の関東では、餅を伸ばして切る(切り分ける)事から「敵をのす(討ちのめす )」に通じ、縁起がいいとされる事からだそうです。
またことわざ「餅は餅屋」は角餅が由来のようで、貸し餅屋が搗いた餅がとても美味しかった=どんなものでもその専門家が最も優れている、事からこう言われるようになったそうです。
雑煮の餅は、焼く?煮る?
一般的に「角餅」は焼いて、「丸餅」は煮て食べることが多いようです。全国には様々な風習があり、使い方も色々です。また、個人の好みもあると思います。
筆者の餅文化?!

私は両親が関西・九州出身なので、引っ越しをしてきて関東に住むようになっても雑煮の餅は丸餅、餅は焼かずに煮るか電子レンジで加熱したものを入れていました。年末には祖父母宅で餅つきがあり家族・親戚が集まって丸めて作っていました。
一方両親が東京出身の夫の祖母宅でお正月に見た餅は、餅屋(餅や和菓子を販売しているお店だったと思います)で購入したのし餅!!餅が乾かないようにフィルムに包まれていて、そのフィルムには切り方ガイドが印刷されており、丁度よい大きさに切り分けられるようになっていました。大きなのし餅を包丁で切り分け、焼いたものが雑煮に入っていました。この時平たい大きな餅を初めて見たのでとても驚いた事を今でもよく覚えています。
餅の形・雑煮の餅の調理の仕方は東と西で型通り違いましたが、味はすまし汁で具材もあまり変わらず同じ味に近かったので安心して受け入れる事が出来ました。
(現在はどちらもスーパーなどの市販の角餅・丸餅を利用しています。)
今は角餅・焼きの一般的な関東スタイルになりましたが、時々やわらかい丸餅の雑煮が食べたいな、と思うことがあります。また、色々な地域のお雑煮も気になりました。
デイケアのおやつに餅?

デイケアのおやつには餅は誤嚥等にならないように使用していません。「餅」のおやつには、餅の代わりになるようにメニューを工夫しています。例えば鏡開きの日のおやつのお汁粉は餅の代わりにお米のおせんべいを使用していて、これは青森県の郷土料理のせんべい汁を参考にしています。おやつから少しでも季節を感じていただけるといいなと思います。
松戸市馬橋 恩田メディカルクリニック 厨房